無調色真珠、その魅力

貝の中から生まれ出る一粒の光り輝く美しい珠、真珠。それが太古の人々にとってどれほど神秘的であり、憧憬の的であったかを、正倉院の宝庫に収められた宝物真珠が物語ってくれます。聖武天皇、光明皇后が愛用していた御冠、帯の垂飾、刀子(とうす)の鞘や履(くつ)、奈良東大寺の大仏開眼をはじめ重要な法会に用いられた仏具、什器類にあしらわれた真珠は全部で4,158個といわれています。

過去数回実施された学術調査の結果、その大半が天然アコヤ真珠と推定されています。時の最高権力者とその后の身を飾り、国の重要な儀式に用いられた真珠は、驚いたことに1200年経った今でもなお、真珠の命とも言うべき真珠光沢を保ち続け、調査にあたった人々が感動する程の光を放っているのです。

上の作品は無調色真珠を用いた弊社作品白金鈿白玉荘(はっきんでんしらたまかざり)(八百六十一万円。売約済み)。

真珠には調色真珠と無調色真珠があります。調色とは真珠本来の色をより効果的に引き出すために、真珠に淡いローズ色を加味する事を言い、一般的な処理として広く容認されています。店頭に並ぶほとんどの真珠がこのタイプです。

一方、無調色とは汚れを落としただけで、調色は一切していない事をいいます。巻きが厚く、特有の深みのある虹色の光沢(てり)を湛えた高品質の真珠のため、調色をする必要がないのです。ただし、ごく僅かにしか採れません。

調色を薄化粧美人、無調色を素肌美人に例えるならば、生まれたままの姿で1200年を経た今なお、人々を魅了する美しくも強靱な宝物真珠は、究極の素肌美人といえるでしょう。